猫 東洋医学の症例
症例紹介 目次
① 心筋症・慢性膵炎・尿管結石
② 17才のシニア猫:慢性腎臓病に伴う食欲不振と便秘へのケア
③ 高齢猫の急性歩行困難と左半身麻痺
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【 症例紹介① 心筋症・慢性膵炎・尿管結石 】
心筋症・慢性膵炎・尿管結石と向き合う:8年間の鍼灸メンテナンス
複数の持病を抱えながらも、鍼灸治療を味方につけて元気に8年目の通院を迎えられたアメリカンショートヘアーのWちゃんの歩みをご紹介します。
1. 患者情報・主訴
* 患者: アメリカンショートヘアー(Wちゃん) オス 荒川区
* 初診時: 8歳(2019年4月)
* 持病: 閉塞性心筋症、慢性膵炎、尿管結石
* 主訴: 心筋症のケア、および慢性的な嘔吐・食欲不振を和らげ、体調を底上げしたい。
2. 当院の東洋医学的アプローチ
複数の臓器にトラブルを抱えるWちゃんのようなケースこそ、体全体のバランスを整える東洋医学の出番です。
* 心負荷の軽減(安神・巡りの改善):
心筋症に対しては、鍼灸によって副交感神経を優位にし、体を深いリラックス状態へ導きます。心拍や血圧の安定を助けることで、心臓への負担を和らげるサポートを行っています。
* 消化器のケア(和胃・止嘔):
慢性膵炎による悪心(吐き気)や痛みに対し、お腹の熱を鎮め、消化器の動きを正常化させる施術を行います。季節の変わり目の不安定な時期も、病状の波を最小限に抑えることを目指しています。
* 尿管結石へのアプローチ(通淋・緩急):
尿管結石による部分閉塞が起きた際、鍼灸で「筋(組織の緊張)」を緩めることで、痛みの緩和と石の排泄を促すサポートを行いました。
3. 治療経過(2026.2)
2019年の初診以来、定期的な鍼灸治療を継続。もうすぐ通院8年目に突入します!
現在は、お腹の痛みや悪心を軽くするためのメンテナンスを継続中です。
Wちゃん自身も鍼灸が大好きで、施術中は目を細めてうっとりとした表情を見せてくれます。そのリラックスした時間が、心身ともに良い影響を与えています。
副作用・リスク:
* 心疾患がある場合、移動や施術のストレスに十分配慮する必要がありますが、個体差により施術後に一時的な疲れが見られる場合があります。
* 尿管結石や膵炎などの急性増悪時には、必要に応じて西洋医学的な緊急処置を優先する場合があります。
ご注意点:
* 鍼灸は持病そのものを完治させるものではなく、症状の緩和とQOL(生活の質)の維持を目的としています。効果には個体差があります。
【症例紹介② 17歳のシニア猫:慢性腎臓病に伴う食欲不振と便秘へのケア 】
慢性腎臓病を抱える高齢猫のSちゃん。食欲の低下と頑固な便秘に対し、全身の巡りを整え、スムーズな排便姿勢を取れるようサポートした事例をご紹介します。
1. 患者情報・主訴
* 患者: 日本猫(Sちゃん) 17歳 オス 荒川区
* 初診日: 2025年6月
* 主な症状:食欲不振、4〜5日間排便がない
* 背景: かかりつけ医にて「慢性腎臓病(腎不全)」と診断。
2. 当院の東洋医学的アプローチ
高齢の猫ちゃんの場合、内臓の機能低下だけでなく、*「姿勢の維持が難しくなること」*が便秘の原因になることも少なくありません。
* 「そろりそろり」とした動きへの配慮: Sちゃんは以前より動きが慎重になっていました。これは腰痛や関節炎などが隠れているサインです。排便時の「きばる姿勢」が体に負担となっていたため、腰回りを緩める鍼灸を行いました。
* 潤い(津液)の補充: 腎不全の影響で体内の水分が不足し、便が硬くなりやすい状態でした。自然な排便を促すツボを取穴しました。
* 胃腸の活性化:「脾(ひ)」の働きを高め、自力で食べようとする意欲を底上げするツボを刺激しました。
3. 治療経過
* 初期(最初の3回): 2週間間隔で鍼灸治療を実施。便を出しやすくする内服も合わせました。
* 中期: 治療を重ねるごとに、徐々に体重が増え始めました。動きに軽やかさが戻り、何より排便がスムーズになったことで、ご機嫌に過ごす時間が増えていきました。
* 現在: 月に1回の定期的な鍼灸メンテナンスを継続しています。17歳という年齢を大切にしながら、穏やかな毎日を維持しています。
4. ご家族全員でお灸ライフ
飼い主様はお灸の素晴らしさを実感してくださり、今ではSちゃんだけでなく、ご家族皆様でお灸を楽しまれています。ご自宅での「温めるケア」が、Sちゃんの17歳という高齢での健やかな生活を強力にバックアップしています。
副作用・リスク・高齢の腎不全症例では、体調の波が激しくなることがあります。
・便秘の原因が腫瘍や巨大結腸症などの場合は、外科的な処置が必要になることがあります。
ご注意点:本症例は鍼灸によってQOL(生活の質)の改善が見られた一例であり、慢性腎臓病そのものを完治させるものではありません。
【症例紹介③ 高齢猫の急性歩行困難と左半身麻痺:自己治癒力を支える統合ケア】
14歳の日本猫、Cちゃん。突如として現れた左半身の麻痺に対し、飼い主様の「本人の治る力を尊重したい」という想いに寄り添い、鍼灸と漢方薬でアプローチした事例です。
1. 患者情報・主訴
* 患者: 日本猫(Cちゃん) 14歳 オス 北区
* 初診日: 2024年7月
* 主な症状: * 3日前からの急な歩行困難
* 左半身の不全麻痺、反応が鈍くぼんやりしている
* 背景: 2歳時に5階からの落下事故による骨折と、その後のてんかん発作の既往歴あり。今回は特段のきっかけなく、急に症状が現れました。
2. 当院の東洋医学的アプローチ
飼い主様は、積極的な検査や西洋的な治療ではなく、Cちゃんの「自己治癒力」を最大限に引き出す治療を希望されました。当院ではその意向を汲み、以下のケアを選択しました。
* 経絡の疎通(そつう): 滞ってしまった「気」と「血」の巡りを改善し、麻痺している部位へのエネルギー伝達を促す鍼灸施術を行いました。
* 「肝(かん)」と「腎(じん)」のサポート: 過去の外傷歴やてんかんの既往、そして14歳という年齢を考慮し、神経系と足腰の粘り強さを司る臓器を補う、やさしい鍼灸治療を行いました。
3. 治療経過
* 初期(1〜3回目): 1週間間隔で鍼灸を実施。2回目から漢方薬を併用しました。
* 驚きの回復: 3回目の来院時(治療開始から約2週間後)には、1メートルほどの高さへジャンプができるまでに回復。足取りのふらつきも大幅に軽減しました。
* 活気の戻り: 体の自由が利くようになると同時に、猫ちゃんらしい「甘噛み」をする元気な行動も戻ってきました。
4. 現在の状況
その後、症状の安定に合わせて治療間隔を広げ、漢方薬も減らしていきました。現在は月に1回の定期的な鍼灸メンテナンスに通っていただいています。14歳というシニア期において、大きな負荷をかけることなく、Cちゃんの持つ「治る力」が形となった症例です。
副作用・リスク:・高齢猫の場合、体調や気圧の変化等で症状が一時的に波打つことがあります。
・麻痺の原因(血栓症や腫瘍など)によっては、鍼灸のみでは対応が困難な場合があります。
ご注意点:本症例は、飼い主様の同意のもと「対症療法・補完療法」として実施した一例です。すべての麻痺疾患において同様の回復を保証するものではありません。




